気分がしずむ
なんとなく気持ちが晴れずに、落ち込んでいる状態です。楽しいはずのことが楽しく感じない、何をする気にもならない、くよくよしやすい、などの気分の変化が起こります。女性がこのような状態になる原因としては、更年期障害が有名ですが、そのほかに月経前の1~2週間、心身の状態がすぐれなくなる月経前症候群(PMS)が原因の場合もあります。また小児期には登校拒否、思春期には摂食障害との関連にも注意が必要です。もちろん、誰でも気分が落ち込むことはありますが、はっきりとした原因がない場合や、落ち込みが2週間以上続き容易に回復しない場合は病的と言えます。また、慢性疾患や癌などの難治性の疾患を悩んでいる場合やそれによる慢性的な苦痛もその原因となりえます。一方、気分がしずんだ状態の背景に、甲状腺機能低下症、副腎機能障害、脳血管疾患、認知症などが潜んでいる場合もあります。他にも、慢性疼痛症や慢性疲労症候群という病気もあります。また、仕事や家庭の環境など社会的要因を考えてみることも必要です。
しかし、家族からの暴力(Domestic Violence)が根底にある場合は誰にも相談せずに悩むことが多いようです。そして、気分がしずむという状態のまま、我慢を続けた場合や無理に明るくつとめる-つまり頑張り過ぎる-と、うつ病に至ることがあります。
対応
気分がしずんだときには、少し休養をとること、そして信頼のおける人に話を聴いてもらうことが大切です。リラックスできる環境をつくり、こころとからだを癒す時間を作りましょう。たとえば、気持ちの休まる音楽を聴くこと、アロマオイルやハーブを楽しむのも効果的です。ひとりで悩み続け、家にこもりがちになると、ますます気分が落ち込む可能性があります。社会的な問題が原因の場合には、地域の相談窓口(たとえば女性センターや人権センター)などに相談してみるのはいかがでしょう。電話相談をしているところも多く、外国人への相談では母国語での配慮があるところもあります。しかし、気分の落ち込みが2週間以上持続する場合や疲労感やだるさ・頭痛や吐き気・腹痛などからだの症状が出ている場合には、まずかかりつけ医に相談しましょう。何か病気が潜んでいないかをチェックする必要があります。また、病気とまでは行かない状態ならば、音楽療法・アロマテラピー・ヨガなどを含めた補完医療をうけることもひとつの方法です。
また、もう少し踏み込んだ治療が必要な場合には、カウンセリングや自律訓練の指導などを受ける方法もあります。これらの中から、自分にあった方法を選んで治療することは、うつなどの病気を未然に防ぎ、本来の自分をとりもどすことに役立つでしょう。しかし、なかなか良くならない場合には、女性外来や精神科外来、更年期外来や心身症外来などで専門治療をうけることが回復の早道です。更年期障害やPMSなどによる症状に対しては、女性ホルモン補充療法や漢方療法が一般的ですが、精神療法や抗うつ剤による治療を行う施設もあります。かかりつけ医に相談して紹介してもらいましょう。