排卵時期の腰痛・性器出血
月経周期の中で、排卵の時期は下垂体―卵巣系のホルモンに大きな変化が起こる時期であり、卵巣では、約20mmまで膨張した卵胞が破裂して排卵が起こります(図1)。排卵に伴い、卵巣の被膜が破綻するために、排卵痛を感じるかたがいらっしゃいます。排卵痛は、軽い腹痛のことが多いようですが、なかには腰痛を訴えるかたもいらっしゃいます。排卵痛自体は生理的なものですが、痛みが強い場合は鎮痛剤の使用で対症的治療を行います。また、排卵時卵胞が破裂した部分あるいは排卵後形成された黄体から腹腔内に出血することがあり、卵巣出血と呼んでいます。卵巣出血に伴い腹痛・腰痛が出現し、出血が多い場合は、手術が必要になることもあります。
排卵時期のホルモンの変化を図2に示します。卵胞の発育に伴い上昇した卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用で排卵の引き金となるLHのサージが起こり排卵が起こります。排卵後、一時的に卵胞ホルモンは下降し、黄体ホルモン(プロゲステロン)が上昇します。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は月経で剥がれ落ちた子宮内膜を増殖させ、黄体ホルモン(プロゲステロン)は発育した子宮内膜中の分泌腺を増大させ、妊娠に適した状態に成熟させる働きがあります。この子宮内膜に影響を与えるホルモンに排卵の時期は大きな変化があるため、時に子宮内膜が剥離し出血を起こすことがあります。これが排卵期の出血で、中間期出血といわれています。中間期出血は前述のようにホルモンのダイナミックな変化によって起こるもので特に治療は不要ですが、中間期の出血を繰り返す場合は、子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮癌などの器質的な病気によって起こることもあり婦人科を受診し器質的な疾患、特に悪性腫瘍を除外することが必要です。
図1 (準備中)
図2 (準備中)