女性の病気について

子宮頸癌

ひと口に子宮癌と言っても、これには子宮頸癌(頸癌と略)と子宮体癌とがあり、両者は好発年齢、発生原因、臨床症状、診断・治療法などが異なり、全く別の癌腫と考えるべきものなのです。
以下に頸癌の臨床的な問題について概説します。

1)子宮頸癌は性感染症―性感染症に罹患しない様にしましょう

これ迄、頸癌の発生病理について世界中の学者が研究してきましたが、その有力な犯人としてヒト乳頭腫ウィルス(HPVと略)の感染と密接な関係にあることが明らかになりました。HPV には100種以上の型があり、なかでも高リスク型の16,18型の感染が頸癌を、そして低リスク型の6,11型が性感染症である尖圭コンジローマ(腟・外陰・陰股部などに疣贅を形成)を発生させることが明らかになって参りました。
近年、性交年齢の低年齢化、不特定多数との性交、コンドーム無しの性交が増加して頸癌の発生が20代や30代の若年者に増加してきており、頸癌が性感染症によることが確かになってきました。

2)臨床症状―接触出血に注意しましょう

ごく初期には無症状に経過しますが、初発症状として不正性器出血とくに性交時の出血である接触出血は重要です。病状が進行しますと、排尿・排便の腹圧時に不正性器出血がみられ、悪臭のある帯下が増量し、さらに頸癌の浸潤・転移により下腹痛・腰痛や血尿・血便・血痰などが起こるようになります。

3)診断―外来で検査が可能です

接触出血や細胞診で頸癌が疑われる場合には、さらに腟拡大鏡診(コルポ診)を行なって病巣を観察し、一部の組織を採取する狙い生検により診断を確定します。それらはいずれも外来で行えます。更に癌の拡がりや転移の有無などの検査を行い、それらの結果を総合して治療方針を決定します。

4)治療―早期治療により妊娠・出産が可能です

頸癌の進行状態により治療法は大きく異なります。初期癌であれば、頸部の病巣のみの除去や円錐切除でよく妊孕性も保たれます。癌の進行度により、子宮と付属器の摘出から所属リンパ節の郭清やさらに周囲臓器を含めて摘出する広汎な手術が必要となります。しかし、最近、放射線治療も手術と生存率に差が認められず根治を目的とすることも可能と評価され、治療の選択肢に位置づけされてきました。

5)早期発見―子宮がん検診を受けましょう

頸癌は、早期発見・早期治療により予後は良好でQOLを損ないません。現在、行政による市町村における子宮がん検診が行なわれていますので、異常のないと思われる人も積極的に受診することが大切です。東京都では、すでに昭和43年より組織的に子宮がん死ゼロを目標に検診事業が始められ、昭和57年からは老人保健法が成立し、30歳以上を検診対象として実施されてきました。そして平成17年からは対象者の年齢を10歳下げて20歳以上に拡大して実施されております。しかし、検診率は30%程度で受診者が固定して新規検診者が少なく、20歳代が極めて少ないのが現状です。そこで、性交を開始したら子宮がん検診を受けることを認識して頂きたいと思います。

6)予防―ワクチンが実用化されます

現在、子宮がんは女性のがん死亡の8位ですが、25-34歳の若い世代に限ると2位となり、上位を占めております。最近、頸癌を予防できるワクチンが開発され、すでに欧米各国で使用されています。若い女性をHPV感染から防御して頸癌と尖圭コンジローマの発生を予防することが目的で、未だHPVに未感染の11-12歳で本ワクチンを3回接種しますと、効果は5-10年有効で副作用は殆どなく、100%近く予防が期待できると言われています。数年後にはわが国でも使用可能となり、多くの女性が頸癌の恐怖から開放される日も近いものと期待されております。