パニック症(パニック障害)
パニック発作
突然、動悸を感じ、息が苦しくなって、めまいや冷や汗が出て激しい不安感がつのり「このまま死んでしまうのではないか」と大変な恐怖に襲われる。これをパニック発作といいます。不安や恐怖に直面すれば、だれでも脈がはやくなったり、汗をかいたり、息苦しくなったりします(パニック)。これは災害や敵に遭遇した時に逃げて生き延びるための、元々身体に備わっている反応です。
パニック発作の場合、それが突然前触れもなく起こります。以下のような症状が起って数分以内に頂点に達しその後自然に収まりますが、発作時は激しい不安を覚えます。この発作で死ぬことはありません。
◇心臓がドキドキする、脈が速くなる
◇汗をかく
◇身震い、震え
◇息があがる、息苦しい
◇息ができない
◇胸の痛み、不快感
◇吐き気、腹部のいやな感じ
◇めまい、ふらつき、頭が軽くなる、気が遠くなる
◇寒気、または火照り、熱感
◇異常な感覚
◇非現実感、自分が自分でない感じ
◇発狂しそうな恐怖
◇死ぬのではないかという恐怖
パニック症
パニック発作(以下発作)があり、このため社会生活機能に支障があるとパニック症と診断されます。原因はよく分かっていませんが、神経伝達物質(セロトニン)の機能異常によって起こるとする考え方が主流です。
予期不安
病気が進行すると、発作の頻度が増えます。また、最初のころは何の前触れもなく発作が起こっていたのが、ある一定の状況下で起こるようにもなります。発作が何度も起こるようになると「また発作が起きるんじゃないか」という不安にとらわれる事になります。これを「予期不安」といいます。
広場恐怖
「広場恐怖」とは、発作が起こった時、逃げられない場所や、助けてもらえないような場所にいることに不安を感じ、次第にその場所を避けるようになることです。起こりやすいのは、電車や車、飛行機などの動いている乗り物、エレベーターの中、会議室、美容院・歯科診療室などです。初めのうちは必要なら何とか外出できますが、だんだん一人ですることが難しくなり、さらに引きこもりのような状態になって、付き添いの人がいないと一歩も外に出られなくなることがあります。
治療
薬物療法と心理療法を組み合わせて行います。
薬物療法は、発作の緩和に効果があります。早い効果が期待できる抗不安薬を使用しながら、発作の予防を目的にSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)を使用します。
心理療法(認知行動療法)は予期不安や広場恐怖の改善に効果があり、不安は自然に消失するものである、不適切な安全確保行動をやめよう、といったことを練習していきます。
こうして発作に振り回されずに生活が送れることを目指します。