女性の病気について

腰痛

腰痛は多くの方を悩ませている症状です。平成28年度の国民生活基礎調査では、日本人の有訴者(自覚症状のある者)率の中で、男性では第1位、女性では肩こりに次いで第2位となっており、女性では1000人あたり115.5人が腰痛を訴えています。更年期外来を受診した女性へのアンケートでは、腰痛もしくは肩こりが週1~2回以上あると答えた方は9割近くいらっしゃいました1)

原因

腰痛には原因が明らかなものとそうでないものがあります。原因の明らかな腰痛の中では、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など主に加齢により生じるものと、腰椎骨折など外傷によるものがよく知られています。他にも、十二指腸潰瘍などの消化器疾患、腎盂腎炎や腎結石などの泌尿器科疾患、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患でも腰痛が起こります。一方で、医師の診察や画像検査(X線検査やMRI)を行っても原因がわからない腰痛があり、これを非特異的腰痛と総称します。非特異的腰痛は腰痛全体の約85%を占め、いわゆるぎっくり腰や変形性腰椎症も画像検査で異常がはっきりしないため、これに含まれます。そして、非特異的腰痛には、心理社会的因子が大きな影響を与えることもわかってきました。人間関係のストレスや、職場での不満や負担、腰痛への恐怖や不安が、腰痛の慢性化や再発を引き起こすといわれています。

診断

病院を受診した場合、問診や医師の診察をまず行い、必要に応じて単純X線やMRI、CTを撮影します。ただし、はっきり病名がつくのは15%程度です。安静にしても軽減しない、次第に悪化する、発熱や下肢のしびれがある、胸部痛や尿漏れなど他の症状を伴う、などの場合は受診されることをお勧めします。

治療

安静は従来広く行われていましたが、必ずしも有効な治療法ではないことがわかってきました。最近では、急性腰痛に対しては痛みに応じて活動性を維持することが、痛みを和らげ、機能を回復させるために重要であるといわれています。一方で有効とされている治療法には、薬物療法、コルセットなどの装具療法、運動療法、心理療法、神経ブロック、手術療法があります。中でも多く行われる薬物療法では、痛み止めを第一に使いますが、筋弛緩薬や抗不安薬、抗うつ薬が効く方もいらっしゃいます。最近ストレスが多いかも…と感じる方は、自分なりのストレス解消法をみつけることも腰痛対策として有効かもしれません。

文献

1) 本庄英雄:更年期のメンタルヘルス.最新女性心身医学.259-274、2015