疲れやすい
「疲れやすい」は、最近すぐ疲れる、何事に対しても億劫になる、朝起きられない、朝起きても疲れが取れていない、寝つきが悪い、集中力が落ちた、物忘れが多い、やる気がおきない、体調を崩しやすいなど、身体をあまり動かしていないにもかかわらず、疲れたと感じることを指し、身体的な疲労と精神的な疲労の両方があります。性別にかかわらず、加齢に伴って感じる症状です。また、近年、ストレスによって副腎が疲労し、一時的に副腎の機能が低下し上記の症状が出ることがわかり、副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)と呼ばれています。鑑別しなければならない疾患として、貧血、糖尿病、がん、甲状腺機能低下症、感染症などがあります。また、疲れやすいという症状はうつなどの精神症状にも見られます。
これらの自覚症状は、病院を受診し検査しても特に異常を認めない場合が多く、そのまま放置することで症状が重くなると倦怠感や脱力感、やる気が起きないうつ状態になります。また、疾患がないにもかかわらず、日常生活を送れないほどの重症の疲労を慢性疲労症候群と呼びます。20代~50代に多く発症し、男性よりも女性、几帳面で真面目な人に多く見られます。健康に生活していた人が突然なることも多く、診断基準として「休養や睡眠をとっても改善しない」、「6か月以上病的な全身倦怠感に襲われている」ことが挙げられます。
「疲れやすさ」への日常生活の対処としては、ストレスを減らすこと、適切な睡眠(夜間スマホやパソコンをなるべく使わない)、適度な運動、リラックス法、食生活の見直し(バランスの良い食事、食事抜きやコンビニ食を減らす、低糖食、ビタミンやマグネシウム、亜鉛、GABA)、などがあります。器質的な疾患のない疲れやすさについては、環境(仕事量や人間関係も含む)や体調を整えることが大切です。薬物療法には、更年期症状であれば、全身のバランスを整える漢方薬なども効果があります。また、うつ病の症状であれば抗うつ剤、精神的ストレスに対してはカウンセリングなどもあります。
私たちは疲れてもがんばりたいときについつい栄養ドリンク剤や滋養強壮剤に頼ってしまいますが、そのような状態が長く続くときは専門医に相談することも大切です。