女性の病気について

のぼせ

「のぼせ」は「ほてり」とともに更年期障害の症状としてよく知られています。突然顔や頭が紅潮し熱くなり(強い熱感)、発汗しや脈拍が増加するものを「のぼせ」、強い熱感が身体にも生じる場合を「ほてり」と呼びます。更年期や卵巣を摘出した女性の6割が経験するといわれています。頻度は数日に1回のこともあれば、1時間に1~2回と頻回に出現することがあります。緊張した時や感情が高揚した時に起こりやすく、また睡眠中にも起こることがあるため、夜中に汗をかいて目が覚めることもあります。また、年齢に関係なく現代女性には手足が冷えているにもかかわらず、顔だけが熱くなる「冷えのぼせ」という症状が見られるようになっています。

風邪や熱中症などで身体に熱がこもっているときにも「のぼせ」は生じますが、更年期女性の「のぼせ」は、心理的ストレス、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すること、体温調節や血管の収縮・拡張を調節している自律神経のバランスが崩れることが原因と考えられています。また、鑑別が必要な疾患として高血圧や甲状腺機能亢進症があります。一方、「冷えのぼせ」は、エアコンがきいた生活や運動不足、肌の露出の多い服装など体を冷やしやすい現代女性のライフスタイルが関連していると考えられています。

更年期症状の「ほてり」は一般に月経不順がみられるころから出現し、閉経前後にピークとなり、閉経後治まるといわれています。日常生活での対処としては、①体温を衣類で調節する(熱がこもらないよう襟元が開く、通気性の良い衣類を着用、カーディガンなど脱ぎ着しやすい服装、汗取りインナーなど)、②外出時は汗拭き用タオルやボディ用ウエットティッシュを携帯する、熱感には冷たいタオルで頭や顔、首筋を冷やす、③誘因となりやすいものを避ける(香辛料や熱い食べ物、ドライヤー)、④肥満も誘因となるため食生活に気を付け適正体重を維持する、⑤身体の緊張をほぐし自律神経のバランスを整える呼吸法や散歩・ストレッチなどの運動をする、⑥ストレス解消法として自分に合ったリラクセーションを見つけるなどです。

症状が重く日常生活に支障がある場合は薬物療法で症状を和らげます。ホルモン補充療法や漢方薬、自律神経調整薬、抗うつ薬などがあります。