女性の病気について

頭痛

頭痛は、女性の自覚症状の訴えのうち、「肩こり」「腰痛」「手足の関節が痛む」「体がだるい」に次いで第5位となっており、多岐の診療科で診られている痛みです。代表的なものでは、頭の片側(こめかみ)に脈打つような拍動性の痛みが生じる片頭痛と、頭の両側に鈍い締め付け感や圧迫感が起こる緊張型頭痛があります。片頭痛は女性の12.9%にみられ、男性の4倍と高い確率で起きます。発症年齢は20~30歳が最多ですが、60歳以上でも9.0%。女性に多い背景の一つには女性ホルモンの影響が示されており、月経前から月経時に片頭痛が生じる人がいます。母親が片頭痛もちであった場合にはその娘の約半数は片頭痛をもつという遺伝的な素因も影響します。また片頭痛にはストレスや疲れなどの精神的な影響、天候や気温の変化などの環境因子、睡眠や食事内容、飲酒等の生活習慣も関連します。片頭痛は中等度から重度の頭痛であることが多く、吐き気や嘔吐などの随伴症状のために、家事ができないといった日常生活への支障が生じやすく、仕事を休むなどの社会的な活動に影響があることも多いです。

頭痛に対する治療方法は、直接的に効果のある鎮痛剤や漢方薬の内服、予防薬の使用といった薬物療法、頭痛の誘因となる生活習慣の改善、行動療法、リラクゼーション法、鍼灸などの理学療法、サプリメントの服用などがあげられます。鎮痛剤の使用については多すぎても頭痛を生じやすくなることが知られており、安易に使いすぎないことが大切です。薬が効きにくい場合や、頭痛の頻度と程度が増していく場合、これまでに経験したことがないほど強く痛む時、発熱を有する場合は、医師の診察を受け、他の疾患が隠れていないかの診断や治療が必要です。

また頭痛は睡眠や食生活、姿勢の改善、ストレスマネジメントなどといったライフスタイルの見直し・改善で症状を和らげることや予防できることが知られており、個々それぞれの頭痛の特徴や誘発因子を知り、日常生活のなかで誘発因子をうまく避けるなどの工夫をすることは重要です。

引用文献

  • 1) 厚生労働省 : 2019年国民生活基礎調査の概況. 17, 2019
  • 2) Sakai F, Igarashi H : Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalagia. 17 (1) : 15-22, 1997
  • 3) 慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会 (編) : 慢性頭痛の診療ガイドライン2013. 東京 : 医学書院 ; 16-186, 2013