女性の病気について

パニック症候群

1)パニック発作

突然、動悸を感じ、息が苦しくなって、めまいや冷や汗が出て、激しい不安感がつのり「このまま死んでしまうのではないか」と大変な恐怖に襲われる。これをパニック発作といいます。不安や恐怖に直面すれば、だれでも脈がはやくなったり、汗をかいたり、息苦しくなったりしますが、パニック発作の場合、それが突然前触れもなく起こります。
以下のような症状が起って10分以内に頂点に達し、その後自然に収まります。

◇心臓がドキドキする、脈が速くなる
◇汗をかく
◇身震い、震え
◇息があがる、息苦しい
◇息ができない
◇胸の痛み、不快感
◇吐き気、腹部のいやな感じ
◇めまい、ふらつき、頭が軽くなる、気が遠くなる
◇非現実感、自分が自分でない感じ
◇発狂しそうな恐怖
◇死ぬのではないかという恐怖
◇麻痺やうずき感
◇寒気、または火照り、熱感

◆発作は前触れなく突然始まり、繰り返す
◆中心症状は激しい理由のない不安 ・恐怖
◆発作を説明できる臨床検査所見がない

2)パニック障害

上記のようなパニック発作があり、発作による生活上の支障が発生して初めてパニック障害と診断されます。パニック発作で死ぬことはありません。

3)予期不安と広場恐怖

症状が進行すると、発作の頻度が増えてきます。また、最初のころは何の前触れもなく発作が起こっていたのが、ある一定の状況下で起こるようにもなります。発作が何度も起こるようになると「また発作が起きるんじゃないか」という不安にとらわれる事になります。これを「予期不安」といいます。

予期不安が「広場恐怖」に発展することがあります。「広場恐怖」とは、パニック発作が起こった時、逃げられない場所や、助けてもらえないような場所にいることに不安を感じ、次第にその場所を避けるようになることです。広場恐怖が起こりやすいのは、電車や車、飛行機などの動いている乗り物、エレベーターの中、会議室、美容院・歯科診療室などです。
パニック障害の患者さんの多くにこの広場恐怖がみられ、症状が進行するにつれてその程度も深刻になっていきます。初めのうちは、必要ならば何とか外出することができますが、だんだん一人で外出することができなくなり、さらに引きこもりのような状態になって、付き添いの人がいないと一歩も外に出られなくなることがあります。

4)パニック障害の原因

パニック障害は、脳の神経伝達物質(セロトニン)の機能異常によって起こるとする考え方が主流です。
本来、不安や恐怖は危険を回避するための大切な生体防御反応ですが、パニック発作は、脳の機能が過敏になったことにより、ほんの少しの刺激に対しても反応を引き起こしていると考えられます。

5)治療と経過

早期治療でほぼまちがいなく改善します。薬物療法と心理療法を使います。
薬物療法は、パニック発作の緩和に効果があります。早い効果が期待できるベンゾジアゼピン系の抗不安薬を使用しながら、発作の予防を目的にSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)を投与します。
心理療法(認知行動療法)は予期不安や広場恐怖の改善に効果があります。不安は自然に消失するものである、不適切な安全確保行動をやめよう、といったことを練習していきます。こうして発作に振り回されずに生活が送れることを目指します。

6)まとめ

パニック障害は脳の病気ですが、早期に治療すれば70~80%で症状がなくなるか、一部残る程度にまで改善します。パニック障害かな?と思ったら、早めに専門機関で診察を受けましょう。