女性の病気について

子宮奇形

1)子宮奇形とは?

子宮の形の先天的(生まれつき)の異常をいう。胎児期の発生段階(子宮ができあがる過程)に問題がある。女性の5%にみられ、稀な病気ではない。種々の形の異常がある。

2)子宮奇形の症状

過少月経(経血量が非常に少ない)、月経不順、月経困難(主に月経痛が強いこと)などの月経異常、および不妊や習慣性流産、早産の原因になる他、分娩にあたって胎位の異常、微弱陣痛、胎盤残留などの異常をきたしやすい。ただし、何ら月経の異常を認めないことや、妊娠、分娩を無事に経過することも多い。

3)子宮奇形の診断

内診(経膣的診察)や超音波検査で偶然見つかることが多い。子宮卵管造影、子宮鏡、MRIを併用することにより、どのような形の異常であるか分かる。子宮奇形には、腎臓や尿管の異常も伴うことが多く、造影検査を勧められることもある。

4)子宮奇形の治療

子宮奇形の治療は手術であるが、無症状の症例や、妊娠、分娩にたいして障害にならないと判断された場合は様子をみておくだけでよい。

子宮発育不全

1)子宮発育不全とは

子宮発育不全という病名は、日本産婦人科学会用語集にも認められず、病名として確立されていないので、はっきりとした診断基準もない。子宮が小さいことや、子宮内膜の肥厚が不十分で不妊症や流産となる場合に、子宮発育不全という診断名を下されるようである。

2)女性ホルモンと子宮発育との関連

胎児期の女性生殖器の形成においても女性ホルモンの役割は大きい。母体と胎盤から生産された多量の女性ホルモンの刺激により、卵管、子宮、膣の上3分の1が形成されるだけでなく、大陰唇、小陰唇、陰核、膣の下3分2も形成される。
生後、女性は卵巣から産生される女性ホルモンの影響を受けるようになる。生後しばらくは、卵巣はその働きを休止しており、卵巣がその働きを開始すると初経をきたす。以後、閉経を迎えるまでの約40年間、卵巣から産生される女性ホルモンの影響を受ける。子宮の発育は女性ホルモンに影響される。正常であれば、女性ホルモンにより子宮の体部は鶏卵大ほどに大きさとなり、その大きさが維持される。閉経後、卵巣から女性ホルモンが産生されなくなると子宮は小さくなる。
女性ホルモンは胎児期には生殖器の分化に関連し、生後は、卵巣から産生されて、子宮の発育や子宮の機能を支配している。

3)子宮発育不全の原因

  1. 女性ホルモンの産生不足:卵巣の機能が欠如した時におこる。
    例えば、癌の治療のため抗癌剤を使用されたとか、膠原病に伴う早発閉経など。
  2. 子宮奇形:生まれつきの子宮の形態異常のため、子宮の働きの障害を伴う場合。

4)治療

女性ホルモンの不足であれば、女性ホルモンを補う薬物治療。子宮奇形であれば、場合により手術。